一般財団法人英語教育協議会(ELEC)
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授業実践DVDを活用して授業改善を図ろう(4)

~授業イメージをつかんで、指導力向上にいかす 小学校の外国語活動の原点を探る~

 

小学校版(2013年):文部科学省 教科調査官 直山木綿子氏

 

 

Q. 今回のDVD作成のねらいを教えてください。

A. これまでのDVD同様、映像を見ながら外国語活動の指導の具体的なあり方について研修を深めていただくために作成しています。本単元の特色として、児童がこの単元までに慣れ親しんだ語彙や表現を使って「桃太郎」の筋が展開されること、児童がこの単元までに慣れ親しんだ語彙や表現を場面に応じて自分たちで選び、自分たちの思いを表現する劇づくりが主な活動であることなどが挙げられます。よって、本単元までの外国語活動の取り組み等が大きく影響してくる単元といえます。加えて、本単元は、そのタイトルが示すとおり、様々な違いを認め合い、世界の人たちと仲良くなろうという思いを込めて作成されています。日本の昔話である『桃太郎』を題材にしていますが、本来の『桃太郎』とは結末が違い、鬼も仲良くなって一緒に村に帰ってくるという結末になっています。また、劇づくりが主な活動であることから、学級の実態に合わせて十分にアレンジをしていただける単元でもあります。そのような単元であるため、先生方からは、どのようにアレンジしたらいいのかわからない、劇づくりをどのような手順で行えばいいのかわからないなどのご意見をいただくことがあります。そこで、本単元の実際の授業実践映像を見ながら、本単元の趣旨を十分にご理解いただき、学級の実態に合わせてアレンジをして取り組んでいただけるように作成しています。

 

Q. 今回のDVDの特徴を教えてください。

 

A. 本DVDは、四つの小学校にご協力をいただいて作成しています。本単元が学級の実態に合わせて十分にアレンジしていただける単元であることから、そのアレンジの仕方についてご理解いただけるよう以下の構成としています。
 
Disk 1:沖縄県宮古島市立南小学校 1単元(6時間分)の授業撮影を編集
Disk 2:静岡県浜松市立浜名小学校 1単元中第3~6時間目(4時間分)の授業撮影を編集
Disk 3:岐阜県本巣市立真桑小学校 1単元中第6時間目(1時間分)の授業撮影を編集
福岡教育大学附属久留米小学校 1単元中第6時間目(1時間分)の授業撮影を編集

 

Disk 1では、1単元の授業の流れに視点を当てています。どのように劇づくりを行うかの例を示しています。また、Disk 2では、学級の実態に応じた、単元後半に設定されている児童による劇づくりの有り様に視点を当てています。ここでは、Disk 1の実践とは違う劇づくりを行っていますので、どのように劇づくりを行うかもう一つの例を示しています。さらに、Disk 3では、学級の実態に応じた、単元終末に設定されている児童による劇発表の有り様に視点を当てています。ここでは、二校が、やはり学級、学校の実態に合わせて、最後の劇発表をどのように行うかの例を示しています。

 

Q. 収録されている授業の内容や、特に参考になるポイントを教えてください。

 

A. Disk 1では、どのように児童にこれまでの単元で慣れ親しんだ語彙や表現を思い出させ、それらを基に劇の台本を作成しているかが、特に参考になるでしょう。また、学級担任とALTのティームティーチングのあり方についても参考になるでしょう。

Disk 2では、グループごとに児童が劇をつくっていますが、児童の思いを劇に反映させるためにどのような手立てを学級担任が行っているかが、参考になるでしょう。児童がどのように劇をつくっていくかその様を見ることができます。

 
また、Disk 1~Disk 3を通して、劇づくりのバリエーションとともに、学級や学校の実態に合わせた発表形態が参考になるでしょう。

 

Q. 各小学校でこの単元を扱う上で先生方に特に気をつけて欲しいことは何ですか?

 

A. 本単元の特色で述べたとおり、本単元は、これまでの外国語活動の取り組みが大きく影響します。
また、本単元では、児童が英語でまとまった話を聞く活動が設定されています。児童が積極的に英語でのまとまりのある話を聞こうとする、あるいは聞くためには、1年生から学校として「(母語で)聞く」指導が行われている必要があると考えます。また、劇づくりが主な活動ですから、児童がペアやグループで活動することが多くなると思われます。それらがスムーズになされるためには、児童同士の関係、また児童と指導者の関係が良好であることが大切です。本単元の実践は、本単元のみでなしえると考えず、2年間の外国語活動、学校組織、学級経営を意識してお取り組みいただきたいと思います。

 

Q. このDVDは各小学校や教育委員会等に配布されていますが、どのように活用すればよいでしょうか?

 

A. 各学校の外国語活動の取り組みや、教員の外国語活動に対する意識等の状況により、本DVDはさまざまな活用の仕方が考えられます。以下に挙げるのはその例です。これらを参考に、各教育委員会・学校等での研修にご活用ください。

 

※ 本DVDに収録されている授業の指導案が、文部科学省HPに掲載されていますので、あわせてご活用ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1322195.htm

 

《例1》

 

目的:学校として外国語活動に取り組む大切さを理解する。
活用方法:映像資料を視聴し、以下の視点について授業を振り返る。

 

・他学年と交流する様子や、本単元のように外国語によるまとまりのある話等を題材にする場合に児童に求められる力
・第5、6学年において外国語活動等が充実するために学校として大切に取り組みたいこと

 

《例2》

 

目的:本単元が、2年間の外国語活動においてどのような意味があるのか理解する。
活用方法:映像資料を視聴し、以下の視点について授業を振り返る。

 

・児童がこれまでに慣れ親しんだ語彙や表現を劇づくりで使ってみようとするために大切なこと
・児童が学級やグループで創意工夫しながら外国語を使って劇づくりをするために大切なこと
・児童が外国語によるまとまりのある話に関心を持ち,意欲的に劇づくりをするために大切なこと

 

《例3》

 

目的:学級担任や外国語活動担当教員の役割について理解する。
活用方法:Disk 1及び2を視聴し、以下の視点について授業を振り返る。

 

・学級担任、ALTの役割
・ティーム・ティーチングで進める授業と学級担任のみで進める授業の共通点と相違点
 
 
(2013年11月掲載)

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